東北アジア平和構築のための日韓市民・宗教者光州宣言

スピーチ・談話

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東北アジア平和構築のための日韓市民・宗教者光州宣言

 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ地区での集団虐殺、米国とイスラエルによるイラン攻撃などが示すように、今日、国連憲章と国際法に基づく国際秩序は大きく損なわれている。終わりのない大規模な軍備拡張の流れが強まる中、国際的な核軍拡も再び加速している。

 東北アジアでも同様に、新たな冷戦的な対立と軍事的緊張が極度に高まっている。米国は、日米・韓米同盟の強化だけでなく、中国封じ込めを前面に掲げ、日韓米・日韓米フィリピンの軍事協力など、「アジア版NATO」の構築に拍車をかけている。大韓民国(以下、韓国)は大規模な軍事力増強とともに、米国との核・通常戦力の一体化を推進している。韓米合同軍事演習は強化・拡大され、自衛隊を含む日韓米合同軍事演習が常態化している。日本は平和国家として出発した戦後の約束を覆して「先制攻撃」が可能となるよう、安保法制を改定し、防衛費の大幅増額とともに中長距離攻撃ミサイルを実戦配備した。フィリピンなど域外に自衛隊の戦闘部隊を大挙派遣して訓練を開始したのはもちろん、今や攻撃兵器の輸出まで可能となるよう防衛装備移転三原則を改悪するなど、平和憲法体制を事実上無力化している。こうした中、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)は核開発を強化し、新型兵器の開発を継続する一方、韓国に対して「敵対的な二国間関係」を宣言した。中国もまた国防費を増額し、東北アジア地域での軍事演習を大幅に増やしており、中露、中朝、朝露間の軍事協力も着実に拡大・強化されている。

 米軍駐留を基盤とする冷戦型の対立構造を乗り越えなければ、軍事的な緊張は激化するばかりである。日米韓の軍事協力の強化や「アジア版NATO」構想のように、敵対関係を前提とする枠組みでは、持続可能な平和を実現することはできない。東北アジア域内の軍事的緊張の緩和にとどまらず、未だ解決されていない日本軍「慰安婦」・強制動員・関東大虐殺問題などの歴史的正義の課題、そして朝鮮学校差別をはじめとする民族差別の問題を解決するためにも、サンフランシスコ体制下の冷戦型思考から脱却した東北アジアの平和体制の構築が必要である。

 米国がロシア・中国・朝鮮との軍事的緊張を高めた場合、日本や韓国に駐留する米軍基地が攻撃対象になるのではないかという懸念は、すでに中東での戦争において現実のものとなっている。東北アジアを戦場としないためには、軍事的対立ではなく、新たな平和秩序の構築が急務である。朝鮮・中国・ロシアは対立すべき相手ではなく、共に平和を築いていくべき隣人である。各国の主権と体制を相互に尊重するという原則に立ち、多国間の安全保障協力の具体的な方策を模索し、平和体制構築に向けたロードマップを共に描いていかなければならない。

 米国を後ろ盾とした軍事独裁政権の暴力的な弾圧と虐殺に立ち向かった5・18光州民衆抗争は、主権と平和、民主主義が不可分の関係にあることを全世界に向かって痛切に証言し、いかなる暴力にも屈しない高貴な抵抗の象徴となった。

 今日、ここ光州で、私たちは5月抗争の精神を改めて称え、東北アジアの新たな平和体制の構築に向けた共同行動を開始する。日韓の市民・宗教者が志向する平和は、単に戦争をしないということではない。

 私たちは、命の尊厳と普遍的価値に立脚しつつ、真の和解実現のための歴史の真相と責任の究明、誰も取り残さない人権保障、そして相互尊重の精神と対話外交による共同安全保障という正義に根差した平和を志向する。

 また私たちは、誰もが他者への敵意に駆り立てられることなく、いかなる核の脅威や戦争の不安に怯えることもなく、人々の大切な資源が大軍拡のための莫大な軍事費ではなく、福祉や教育、そして民生のためにすべて活かされる社会の実現を目指す。

 私たちは、東北アジアの平和体制構築のために、次のような共同課題を提案する。

第一に、 日本の平和憲法の改悪を許さず、朝鮮半島の停戦体制を平和体制へと転換する。

第二に、日本と朝鮮民主主義人民共和国の国交正常化と歴史正義の実現のために取り組む。

第三に、核軍縮と軍備の縮小に向けた東北アジア多国間安全保障協力体制の構築を促す。

第四に、国連憲章と国際法に基づき、主権と人権を尊重する平和協力を促進する。

 東北アジアにおける平和体制は必ず実現しなければならない。第9条をはじめとする平和憲法を最後まで守り抜こうとする日本の、そして分断と戦争体制を完全に克服しようとする韓国の市民・宗教者は、東北アジアの平和を推進する大きな力となるだろう。これまで、日韓の市民・宗教者は、平和が歴史的正義の上に成立し、その実現のために各国の民主主義の確立が不可欠であるという信念の下、共に行動し、連帯してきた。私たちはこの連帯の精神をもって日韓をこえ、国際的な共感の輪を広げ、ついには東北アジアの平和体制を構築する。

2026年5月16日

日韓和解と平和プラットフォーム、東北アジア平和体制 国際連帯

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