② 東アジアが再び戦場となる可能性がある

② 東アジアが再び戦場となる可能性がある

朝鮮戦争は1953年に停戦協定が結ばれたものの、まだ終結していません。一触即発の危険な状態は続いています。日本では朝鮮民主主義人民共和国の核保有やミサイル発射が主に脅威として語られていますが、その一方で、日米韓は朝鮮を仮想敵国とする軍事演習を繰り返しています。さらに、日本と韓国が米国の核の下にある現状は、朝鮮にとっても脅威と見なされています。互いに拳を振り上げたままでは対話は成立しません。

Q:日韓基本条約で韓国を「朝鮮半島における唯一の合法的な政府」としたことは、東アジアの平和にどのような影響を与えましたか?
A:
この規定をめぐり、韓国政府は自らを朝鮮半島全域に及ぶ「唯一の合法的な政府」と主張しましたが、日本政府側は1948年に北朝鮮が参加を拒否し南朝鮮だけで行われた単独選挙の結果についての「国連総会決議195号のⅢ」に示された唯一の合法政府との限定的な規定に基づき、北朝鮮については空白としました。とはいえ日本政府が韓国政府を「唯一合法政府」と規定したことは、朝鮮戦争も停戦に過ぎない状態のまま日本政府が朝鮮半島の南北分断に直接的関与を開始したことを意味します。
これにより米国が指揮棒を握った米・日・韓・台湾・SEATO([注]東南アジア条約機構。ベトナム戦争終結により解体)の反共包囲網で日本政府がより重要な役割を担うことになりました。本来、かつて被害を与えた朝鮮との間でも速やかに国交正常化し過去の清算に向かうべきでしたが、日朝国交正常化交渉が開始されたのは日韓条約締結から四半世紀も経った90年自民党・社会党・朝鮮労働党の三党共同宣言を受けた翌91年からでした。2002年の日朝ピョンヤン宣言では『日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明』し、双方は不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し『国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注』することを確認しました。現在、日朝国交正常化交渉は進展していませんが、すぐに再開すべきです。

Q:東アジアを戦場にしない方法はありますか?
A:
まず朝鮮戦争を終結させ、現在の停戦状態から平和協定締結に転換させることです。70余年にもわたり「撃ち方やめ」に過ぎない停戦=準戦時状態に朝鮮半島が置かれてきたこと自体が異常です。そこには日本政府の責任もあります。日本政府もこの準戦時状態に加担し、一方の側に立って朝鮮への無視・敵視政策を続けてきました。この状態を終わらせるためにも日本政府は日朝国交正常化に速やかに向かう必要があります。
しかしこの間、日本政府はロシアのウクライナ侵攻を口実に「東アジアも例外ではない」として、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら米日韓軍事同盟化を進め、南西諸島の軍事拠点化、専守防衛から「敵基地攻撃」能力の保有や軍事費のGDP比2%以上へ大軍拡を進めようとしています。
日本政府が今とるべき道は、戦争を呼び込むこうした危険な動きを止め、平和外交で積極的役割を果たすことです。とりわけ日朝ピョンヤン宣言を基礎に、日朝国交正常化に向かうことは東北アジアの平和にとって日本が果たすべき欠かせない課題です。

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