「日韓国交正常化60年」の課題
① 植民地支配の清算が終わっていない
1965年、日本は韓国と国交正常化を果たした際、韓国だけを朝鮮半島における唯一の合法的な政府として承認しました。朝鮮との国交は未だに正常化されていません。これは、日本による植民地支配の清算が終わっていないことを意味します。また、日本軍「慰安婦」問題や強制徴用・強制労働の問題など、歴史認識や戦後賠償に関する課題も依然として未解決のままです。
Q:戦後補償は1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定で解決済みなのではないですか?
A:解決済みではありません。1965年の日韓請求権協定では、日本が韓国に「経済協力」を行い、請求権にかかる問題は「完全かつ最終的に」解決済みと確認しました。しかし、これは韓国政府が「外交保護権」を放棄したにすぎません。個人の請求権を消滅させたものではありません。これは日本政府自身が繰り返し認めていることです(1991年、柳井俊二条約局長答弁、2018年、河野外相答弁など)。また、日本政府は、有償・無償5億ドルの「経済協力」で賠償は済んだと言っていますが、当時の椎名外務大臣は「これは賠償金ではなく、独立祝い金である」(1965年)とも言っています。不法な植民地支配下での人権侵害に対する損害賠償請求権は今も残っています。2018年、韓国の強制動員訴訟で大法院が出した判決に対し、当時の安倍政権がそれを「国際法違反」と非難、さらに被害者を「旧朝鮮半島出身労働者」と呼んで、戦時動員における人権侵害を否定しました。日本の植民地認識は 60 年前に戻ってしまいました。
Q:「慰安婦」問題は2015年の日韓合意で解決したのではないですか?
A:2015年の日韓「慰安婦」合意は、安倍首相が被害者に謝罪、日本政府が10億円を拠出し、その資金で財団を設立して被害者を支援するというものでした。
しかし、合意は被害者当事者不在で発表されました。安倍首相が被害者に直接謝罪することもありませんでした。加害の歴史を継承するのではなく問題を終わらせるという姿勢に終始、国連機関等で取り上げない、「平和の碑」(少女像)の撤去などを韓国政府に迫りました。これでは被害者、韓国の人々は納得しません。そのため文在寅政権は、2015年「合意」では最終解決にならないと結論づけたのです。さららに2023年、韓国の高等裁判所は日本政府に対し、「慰安婦」とされた女性たちに賠償するよう命じました。
日本政府は被害者に向き合い、誠意を尽くして問題解決すべきです。
コメント